【所得税】確定申告コールセンターの相談担当税理士をやってみた!

税理士

こんにちは、ノマド税理士チャーリーです。

さて、所得税の確定申告時期には、税務署からの委託を受けて税務署のコールセンターに税理士が相談担当として従事する、という業務があります。

ノマド税理士、まぁまぁヒマなので、何日間か従事してみました。

昔は損害保険の事故受付コールセンターで働いていた経験があるので、電話さばきには自信があります(笑)

今回は、税理士が対応する確定申告コールセンター業務がどういった内容なのか、また、実際に多かった相談案件についてご紹介します。

税理士

確定申告コールセンターの税理士相談の概要

大阪国税局の場合、管轄は近畿圏に属する滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県の2府4県です。

この2府4県に属する税務署にかかってきた電話のうち、「確定申告コールセンター」につながれたもの、つまり管轄の税務署に電話をかけ番号「0」を押したものは一旦オペレーターにつながります。

定型的な質問である「会場・受付時間・必要書類など」はオペレーターで回答しますが、少しでも税務判断が必要な相談内容が入ると、税理士に回されます。

ちなみに「2」番を押すと、直接税務署につながります。個別具体的な相談はこちらへ。

従事期間は1月後半から3月15日までの約1か月半。

一部土曜日の従事日がありますが日曜日はお休みです。

毎日45人~50人程度の税理士が従事し、一人だいたい40件~70件/日ぐらいの相談を受けることになります。

ちなみに、実際には税務署にオペレーターも相談担当税理士もいません。

毎日別会場で元気に対応しています。

確定申告コールセンターの相談担当に従事する税理士とは

8名が資産担当(贈与・株や不動産の譲渡所得関係)、その他はそれ以外の一般的な所得税・消費税の相談を担当します。

とはいえ、資産担当はいつも回線がいっぱいなことが多いので、溢れた回線は一般的な相談担当の税理士に回ってきます。

年齢層でいうと、資産担当は50代~の重鎮、一般担当は30代~といった感じ。

仕事の少ない若手ペーペーが集まっているのかと思いきや、全体的な年齢層はかなり高めでした。

毎年恒例のメンバーもいるようで、「お、久しぶり!今年もお会いできましたな」的な会話がそこかしこで繰り広げられていました。

ちなみに私の場合、所得税は税理士試験で受験しておらず、年1回の確定申告時期に実務で覚えたぐらいです。

そういった税理士も結構従事しています。

確定申告コールセンターに寄せられる相談案件ベスト5

所得税って奥が深いんですよ。すべて網羅しようと思うと本当に大変。

はっきりいって所得税と比べると法人税がシンプルに思えるぐらいです。

まぁそうですよね、いろんな個人がいて、それぞれにいろんな事象が起こるわけですから・・・。

そういった個人的な状況に応じて平等な税負担を推し進めた結果、こんな複雑な形になってしまい、もはやこれは一般個人ではわかるはずもないだろうな・・・という税制もかなりあります。

そして案の定、確定申告時期のコールセンターにはありとあらゆる方向から相談・疑問が投げかけられるのです。

とはいいつつ、本当にイレギュラーで複雑な事案もあるものの、だいたいの傾向がありまして、このあたりを重点的に抑えておくと対応がスムーズでした。

というわけで、私が受電した中で体感的に相談件数が多かった内容ベスト5をご紹介します。

第5位:事業所得

長年事業を続けられている方は自分で申告するのも慣れていますし、税理士に依頼していることも多いので相談は少ないですが、初年度、2年目で売り上げが大きくなってきた、という方の相談が多いです。

特に、副業で始めたアフィリエイトやせどり関係、在宅ワーク関係で申告方法がわからない、という問い合わせが多かったです

アフィリエイターや在宅ワーク関係の方は、「家内労働者等の必要経費の特例」が使える場合があるので、検討してみるといいですね。

国税庁 家内労働者等の必要経費の特例

まだ売上・経費が少ないうちは、これを使えれば節税効果が大きいです。

みなさん慣れていないので、本当にイチから「収支内訳書」の記載方法をお伝えしたりするんですが、途中から「うーん、もう、まずは確定申告の手引き熟読して、確定申告書等作成コーナーで作って!」って思わなくもなかったです。

だって、「電話で」ですよ。手も取れないし足もとれないじゃないですか・・・

なんなら、PCさえ用意してもらったら行って入力方法教えた方が早いんじゃ・・・と思いさえしましたね。

第4位:申告義務の有無

特に、年金所得者の申告義務の有無確認が多いです。

だいたい必要ない場合が多いんですが、申告することで還付される場合もあるので、そのあたりも含めて説明します。

年金受給者 確定申告フローチャート

年金所得者はだいたい年配の方なので、なぜか世間話が入って対応時間が長くなるもの特徴。

「息子(娘)が・・・」とか、「近所の人は・・・」とか。

日本って平和ですね。

第3位:不動産譲渡所得

不動産を売った場合には、「譲渡所得がある場合の確定申告のお知らせ」といったハガキが税務署から届くので、申告義務有無の問い合わせから、譲渡所得の計算方法まで、幅広く相談がよせられます。

ただ、譲渡所得の計算については、条件によって特例が使える場合もありますし、計算方法も一般の方に口頭で正確に伝えるには限界があります。

契約書や登記簿謄本を実際に見ることができないコールセンターでは、はっきりいって正確に答えるには限界があります。

税額が大きくなることが多いので、慎重な計算をするのが吉。

買ったときの契約書やかかった経費、売ったときの契約書やかかった経費などがわかるものなど、関係しそうな書類を全部まとめて、早めに税務署または相談会場にもっていきましょう。

確定申告前の1月であればまだ税務署も混雑していないので、そのあたりにあらかじめ電話で相談の予約をしてから行ってもいいですね。

必要書類が足りないなどの理由で、一回で済まない場合が多いのでそのつもりで。

第2位:医療費控除

ここからぐっと相談件数が増えます。

特に介護医療費ですね。

ケアマネージャーをしている私の姉も、どんどん介護医療の現場サービスが複雑化していて、どれが医療費控除の対象になるか、はっきりした線引きはわからない、といってました。

医療費の領収書に医療費控除対象金額が明記されているものもあれば、ないものもあります。

というか、いちいちそのサービス内容によって、対象になるかならないかの判断が面倒なので、誰がみてもわかる線引き(またはわかる内容の領収書発行)、またはいっそのこと全部医療費控除の対象にするか、全部対象にしないかにしてくれよ、と思うのは私だけではないはず。

2 介護保険サービスの対価に係る医療費控除について|国税庁
No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービスの対価|国税庁

第1位:住宅ローン控除・住宅関係特別控除

断トツに多いのがこちら。

必要書類も多いですし、控除税額が大きいですからね、切実です。

必要書類確認が半分、控除の対象になるのかどうかの相談が半分といった感じです。

チェックシート・添付必要書類の確認はコチラでどうぞ。

チェックシート・添付書類

過年度に住宅ローン控除の申告を忘れていて、後からできるのか?といった質問も結構多かったですね。

結論からいうと、できる場合とできない場合があるんですが、できない場合でも税務署判断で「う~ん、仕方ないなぁ」といった形でOKな場合もあるので、直接税務署に問いあわせるのが最善策です。

直接税務署職員に問い合わせたい場合は、最初の番号選択で「0」ではなく「2」を押してくださいね。

確定申告コールセンターに電話をする前に

これを言ってしまうと元も子もないのですが(笑)、疑問に思う内容は、まずは(国税庁のサイトで)ググると、だいたいのことが解決できます。

少なくとも一般的な内容・必要書類はだいたい確認できるはず。

通話料もかかりませんし、オペレーターにつながるまで長時間待つ必要もありません。

国税庁サイト

記入方法がわからない方・計算方法がわからない方は、手書きをやめてネットの「確定申告書等作成コーナー」で申告書等を作ってください。

手書きで行うより確実に間違いが少ないです。

何度も同じ内容・数字を転記する手間も省けますし、モレがない。

さらに秀逸なのが、添付すべき必要書類を最後に一覧で指示してくれます。

確定申告書等作成コーナー

そのうえで敢えて確認したいことはコールセンターへ、複雑個別な案件であれば直接税務署へ(「2」番押下)電話するとスムーズですね。

参加してみた感想

初日こそ、初めての作業にアタフタしたものの、2日目からは「こりゃ私では対応無理」と思った案件はどんどん所轄税務署に転送することに徹したため、意外と乗り切れました(笑)

結論としては、参加して良かったです。

特に、初めたての事業所得者の方の相談にのることは楽しかったですね。

最近は、副業を始める方や、それが転じて個人で独立される方も増えてきていますし、新しい働き方に我々税理士もキャッチアップしていかないとな、と実感しました。

若手税理士にとっては、なかなかハードなトレーニングになりますが、同時にレベルアップにもつながり、なるほどみんなここでつまづくのか、と気づきがあることも多いです。

一般的な税理士事務所に勤めていると、法人税申告の案件に比べると所得税申告案件は断然少ないこともあり、そこまで所得税は詳しくならないですからね。

さらに、所得税の申告書作成を請け負うことはあっても、適用特例や計算方法など、納税者さんにわかってもらえるように事細かく説明する、ということはほぼありません。

私のようにヒマを持て余してる税理士さんは、一度は参加してみるといい勉強になりますね。

簡単な案件は即答、難しい案件は書籍を高速でめくりつつ(たまに電話口で「パラパラ」という音が聞こえているはず・・・)、PCでググりつつ対応。

専門用語を使うことができず、実際に用紙や書類を確認しながら指示することもできず、理解してくれない納税者さんがキレ気味になることもあり、まぁまぁストレスフルではありますが。

大御所税理士ともなると、電話の向こうの納税者さんにかなり上から目線でしゃべられる(もはや怒鳴っていた)方もチラホラいました。

これは見習ってはいけない税理士の例だな、と肝に銘じつつ、怒涛の確定申告時期のコールセンター相談業務を乗り切りました。

まとめ

というわけで、所得税確定申告コールセンターの税理士相談業務の実情を紹介してみました。

税理士になる前までは、こういった業務があることは全く知らなかったですが、納税者さんのお役に立てるのはどんな業務でもうれしいですね。

納税は義務ですが、まだまだ確定申告の仕組み、所得税の仕組みを理解していない方が多いのも事実。

そもそも一般人にわかりにくい仕組みというのが問題です。

エストニアの税制のように早く、一律20%ぐらいにシンプル化してくれないかな、というのが本音。

個人的には、「年末調整廃止し、確定申告すべき派」なので、これからも確定申告相談業務には積極的に参加し、納税者の税知識の底上げに貢献したいですね。

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