【体験記】30歳超えて独学4年で税理士試験に合格した勉強法|試験の概要・選ぶべき科目

税理士試験

こんにちは、独学4年で税理士試験5科目合格したノマド税理士チャーリーです。

今回は

税理士試験に挑戦してみようかな、と考えてるけど、
何から始めよう?
どんな科目を選べばいいのかな?
独学で合格ってホントに可能なの?

と悩んでいる方のこういった疑問に、独学4年で合格した私が実践した勉強方法を踏まえて、お答えします。

本記事では次の内容をご説明します。

  • 税理士試験はどんなものなのか
  • 税理士試験で選ぶべき科目(独学の場合)
  • 税理士試験に挑戦する際に一番大切なこと

万人にあてはまる勉強法ではないですので、あくまで一つの成功方法だという目線で参考にしていただくと幸いです。

税理士

【余談】私が独学で税理士を目指した経緯

早速の余談で申し訳ないですが、独学4年で受かったあなたは何者?といわれそうなので、そもそもなぜ私が税理士資格を取得しようとしたのか、というところからお話させてください。

余談の話が不要な方は、すっとばして、下記の税理士試験概要から読み進めてください。

28歳で未婚のまま子供を産んでから、派遣社員として損害保険会社に勤めていました。

時給1,500円、残業・休日出勤をマックスまで入れて月の手取りは30万円。

その時の目標は住宅ローンを組めるようになること。

そして1年少々で住宅ローンの審査に通りました。

結局ローンは組みませんでしたが、「派遣社員でも真面目に働いてれば住宅ローンが組めるんだ」という、なんとなくの達成感で、その後損保の仕事を続けるモチベーションがなくなり、次のステップへ進もうかなと考え始めました。

ずっと派遣で働き続けるのも不安がある。

できれば子供と過ごせる自由な時間と、もっと安定した生活を手に入れたい。

自営業だったら可能なんじゃないか・・・

資格を取ろうかどうか、どんな仕事がこのライフスタイルにあるのか・・・

いろいろと悩む毎日でした。

そんな時、同じ職場にいた嘱託社員でキャリアカウンセラーをされている方がアドバイスをくれました。

「どうせ資格をとるなら一発切り札になるような、それだけで食っていけるようなものを目指せ」と。

当時、行政書士・FP2級・宅建はもっていましたが、実務で使ったことも、それで独立しようと思ったこともなく、まったくもって資格の取り腐れです。

その時、「一発切り札になるような資格」で頭に思い浮かんだのが、弁護士、不動産鑑定士、税理士あたり・・・

そして、合格しやすさ・かかる時間から実現可能そうなものを検討した結果、科目合格制である「税理士試験」に目をつけ、「コレだ!私のような人のための試験だ!」とはりきって税理士を志したことを昨日のように思い出します。

大学時代の仲間に士業が多く、弁護士、司法書士、公認会計士がすでにいたので、余りポジションを狙った、というのもあります。

簿記も嫌いではなかったでしたし、個人的にも税金が一番興味持てました。

ちなみに、税理士試験5科目合格が揃うまで会計事務所の勤務経験も、経理事務の経験も皆無(笑)

土台も何もないのに、なぜか「独学」を選ぶことに躊躇はありませんでした。

だって、時間以上にお金の余裕がなかったですから。

まず簿記論・財務諸表論を独学2年で突破できなければ諦めようと決めていました。

今振り返ると、思い付きレベルで税理士試験を目指し、運よく簿記論・財務諸表論に合格し、税法科目についてはその勢いで独学を続けた感じですね。

でも、一度足を踏み入れてしまったが最後、覚悟をきめて4年間、2014年に完全独学で5科目合格までこぎつけました。

税理士試験の概要

税理士試験の科目

税理士試験の科目は、全部で11種類あります。

会計学に属する科目2科目簿記論、財務諸表論
税法に属する科目9科目所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、酒税法、

国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税

すべての科目に合格する必要はなく、会計学の2科目は必須ですが、税法科目は任意(※)の3科目を選び、合計で5科目合格すればOK。

(※法人税法か所得税法は必須、消費税法と酒税法はどちらかのみ、住民税と事業税はどちらかのみ)

なお、税理士試験は科目合格制なので、一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験しても良し、何年かかってもよいことになっています。

税理士試験の受験資格

誰でも受けられるわけではなく、一定の受験資格で制限をかけています。

  1. 学識による受験資格
  2. 資格による受験資格
  3. 職歴による受験資格

「1.学識による受験資格」の場合、代表的な例⇒大学か短大に通っていて、「法律学又は経済学を1科目以上履修した者」であれば受験資格はクリアです。法学部・経済学部であればもちろん、文系ならだいたいクリアできそうですね。

「3.職歴による受験資格」の場合、会計事務所や経理職に2年間従事していればOKです。

上記の主な受験資格がなければ、「2.資格による受験資格」の簿記1級をまずは目指すことになるでしょう。

詳しい受験資格⇒国税庁公式サイト

税理士試験の合格基準

「合格基準点は各科目とも満点の60パ-セント」

と、国税庁のHPではうたっていますが、嘘です(笑)

だいたい合格率10%前後になるよう、相対的に合格基準が決められます。

ですので、50%の出来でも周りの出来が悪い科目なら受かることもありますし、90%の出来でないと合格が厳しい科目もあります。

私の実体験として、簿記論は明らかに50%以下の出来だったのに受かりました・・・

なお、現時点では試験結果・解答に関する照会に対して、回答はしてくれないそうです。

国税庁公式サイトより

税理士試験の実施日

年に一度、8月始めに3日間の試験日程が組まれます。

年に3回ぐらい実施されているなら、もっと気軽に独学でチャレンジできるし、向き不向きも早い段階でわかって時間のロスが少ないんですけどね。

もったいつけるな~、というのが正直なところ。

税理士試験の合格発表

合格発表は、同じ年の12月2週目の金曜日です。

8月の試験終了後かなりの期間、悶々と過ごすことになります(笑)

科目合格(または不合格)であれば発表の数日後、普通郵便で届きます。

地域によっては週明けになり、さらに悶々とした週末を迎えることになります。

5科目合格の場合は、合格証書が郵送されるとともに、合格発表の日の官報に受験地・受験番号・氏名が、国税庁ホームページには受験地・受験番号が掲載されます。

私は旅先のマレーシア、マラッカからネットで官報合格を確認し、子供が寝ている横で一人ベッドの上で飛び跳ねました。

最近の税理士試験受験者数と合格率

最近ではその人気がダダ落ちと言われている税理士資格、ずばり年々受験者数は減ってきています。

ここ5年を観察してみると、年間2,000~3,000人、10%↓に手が届くペースで減ってきています。

少子化の影響ももちろんありますし、もはや簡単に稼げるおいしい職業ではないのがバレてきてますからね。

この分だと、平成31年には3万人を切りそうです・・・

対して合格率は、年によって多少のばらつきはあれど、13%前後で一定。

受かりやすくなっているわけでもなさそうです。

税理士試験合格に必要な平均勉強時間

下記が一般的に言われている必要勉強時間です。

尚、平均勉強時間には理論暗記の時間が含まれていません。

そうですね・・・はっきりいって、理論には平均勉強時間がさらにかかるイメージです。

つまり実質勉強時間は平均勉強時間の倍だと思ってください。

例えば所得税法なら、平均勉強時間600時間×2=1200時間、1日10時間勉強したとして、120日=約4か月必要な計算になります。

この実質勉強時間を目安に、1日何時間とれるのか、いつから勉強を始めればいいのか、スケジュールをたてましょう。

今見直してみても、気が遠くなりますね。よく頑張ったな私( ゚Д゚)

税理士試験は働きながら合格しやすいのか?

最初にテンションを下げるようで申し訳ないですが、1回の試験で5科目合格しなくてもいい「科目合格制」は罠だと思ったほうがいいです。

毎年1科目ずつでもいいし、ときには頑張って2科目でも3科目でも受けてよい、という働く受験者に一見優しいシステム。

「公認会計士は一発らしいのでそれよりは楽なんじゃないかな」

「働きながらでも取れるんじゃないかな」

という、ぬるい考えがつい浮かんでしまいますよね。

「税理士試験は働きながらコツコツ勉強しても合格可能」、果たして本当なんでしょうか?

まず、登竜門の簿記論と財務諸表論は比較的通りやすいんです。

平成29年度の財務諸表論にいたっては30%弱、もう出血大サービス状態。

受かったら次の科目も取りたくなりますよね。

「簿・財を合格したから、可能性はあるはず!」という自信から、やる気をみなぎらせてしまうはず・・・

はっきりいいます。

簿記論・財務諸表論の合格は、ウマの鼻先にぶらさげられた人参です。

簿記論・財務諸表論合格の先に待ち受けている税法の試験に足を踏み入れると、ライバルのレベルが各段に上がるので、そうは簡単に合格させてくれませんよ。

比較的簡単に合格できた簿・財⇒税法科目に延々合格できず、数年間を無駄にする方も少なくないはず。

基本的に、簿・財合格者が次に税法を目指す傾向にあるので、実際の合格率は

簿・財合格率20%×各税法合格率10%前後=2~3%

ってところじゃないでしょうか。

なかなか難易度の高い税理士試験ですが、働きながら合格している方ももちろんいます。

あなたがまだ20代で、10年ぐらいなら働きながら勉強するモチベーションが続く、という自信がある人はそれで構いません。

ただ、「働きながら」「短期間で」税理士試験に合格するのはなかなか困難。

本気で短期合格を目指すなら、税法に関しては最低でも最後の3ヵ月間は専念がおすすめです。

私は税理士試験を受け続けた4年間、4月から8月の試験までの約4か月間はすべて、独学で専念しました。

独学の場合どんな科目を選ぶといいの?

独学する上で、ネックとなるのが「良質な教材が手に入るかどうか」ということ。

良い教材がそろえば、50%ぐらい合格したも同然です。

独学で選ぶ科目の鉄則:市販やネットオークションで手に入りやすい教材が多い科目を選ぶこと

まず簿記論と財務諸表論は必須科目。

こちらは市販教材もかなり充実しているので、全科目独学を選ばない人でも、この2科目だけなら十分独学で合格可能でしょう。

次に法人税か所得税も必須科目。

両方とってもいいですが、ボリュームが最も大きいのでどちらか一つを選んでおけばいいです。

内容的にはかぶるところが多いので、ボリュームの割に合格レベルに達するまで思っているほど時間がかからないかもしれないですね。

私はヘタレなので選びませんけど・・・

この2科目も比較的教材が出回っています(市販品・オークション)。

残りの2科目ですが、消費税は入れておくことをおすすめします。

教材が出回っていますし、ボリュームもそんなに多くないですし(とはいえ、法人税・所得税・相続税に次ぐぐらい)、比較的新しい税法のため理屈が体系だっているので、理解しやすいですよ。

また、実務や実生活でも関係することが多いので、自然と興味を持てるはず。

実務面からいうと、消費税ができないのは致命的ですしね。

実際、税理士賠償責任リスクが最も大きいのが消費税に関するものです。

残り1科目は、体力と個人の得意不得意に応じて選んでください

相続税なら教材は出回っていますが、やっぱり合格の難易度は高め(内容の難易度とは別)。

計算問題が得意か理論問題が得意かによって、点数を取れる科目も変わってきます。

無難な線としては、事業税か住民税あたりになるでしょうか。

事業税なら法人税と関係が深いですし、住民税なら所得税と関係が深いといわれています。

ただこの2科目は、問題集の市販品はありますが、テキストの市販品はほぼないため、オークションなどで手に入れることになります。

私が選んだのは、法人税、消費税、事業税。

「受かりやすさ」、もっというと「いかに短期間で5科目揃えられるか」を検討した結果、選んだ科目です。

そして、以下のような結果に。

1年目:①簿記論◎ ②財務諸表論◎
2年目:法人税×(A判定) 消費税×(A判定)
3年目:③法人税◎ ④消費税◎
4年目:⑤事業税◎

2年目の2科目不合格が痛かったですが、ほぼ予定通りのスケジュールで進みました。

「実務で役立ちそうだから」とか「絶対国税3法で勝負するぞ」などといったこだわりはあまり持ちませんでした。

資格試験はゼロヒャク、合格できるか、できないかのみです。

科目選択にこだわりすぎて、一生合格できなければその税法を使って稼ぐこともありません。

実務で必要な税法は後から勉強すれば足りると個人的には考えています。

人によって科目のとっつきやすさがあるので、ここ数年の全科目の過去問と合格率、教材の手に入れやすさを見て、判断するとよいでしょう。

税理士試験に合格するために一番大切なこと【独学・通学共通】

税理士試験は、ほとんどの場合1年で終わりを迎えません。

早くても3~5年の長丁場になります。

合格するために一番大切なことは、ずばり、

「モチベーションの維持」。

独学の場合は、ことさら自分自身で時間とやる気をコントロールし、試験当日にピークを持っていかなければなりません。

最もしてはいけないことは、試験勉強中に「ほんとに受かるのかな」「この勉強法でいいのかな」などと迷うこと

モチベーションも時間もロスします。

また、あらかじめやらないことも決めておきましょう。

いろんなことを完ぺきにする必要はありませんし、そもそも試験勉強中は勉強以外のことまで完ぺきにできるはずもありません。

私は2年目、試験を甘く見すぎて法人税と消費税を落とした時に、やらないこととタイムリミットを決めました。

このあたりのメンタル編はこちらで詳しく

まとめ

税理士試験がどんなものか、イメージが持てたでしょうか。

やっぱりこの試験に挑戦するには、ある程度の覚悟と計画的な実行力が必要です。

とはいえ、独学、子持ちシングル、と決して有利ではなかった環境の私でも合格しているので、計画を着実にこなせる方であれば、「独学で合格」も夢物語ではないと確信しています。

まずは、自分の実力をはかるという意味も含め、「簿記論・財務諸表論」に独学でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

もちろん、「なにがなんでも独学」にこだわる必要はありません。

通学・通信・オンライン講座もしっかりリサーチした上で、自分にあった勉強法を見つけるのがベスト。

独学であろうが、通学であろうが目指す結果=合格は一緒ですから。

最近のオンライン講座は、効率的な教材・内容になっていると評判なので、無料で試してみるのも一考。思っているよりかなりお手頃価格です。

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※わたしも中小企業診断士講座で受講してみましたが、なかなかよくできてました。

悩むよりまずは行動した方から、進むべき未来・進みたい未来が具体的に見えてきます。

これから、税理士試験突破するぞ!と意気込む方の参考になれば嬉しいです。

「何からはじめていいかわからないけど、税理士資格への一歩を踏み出したいみたいな」という方は、こちらで挑戦できそうな資格を見つけてみてはいかがでしょうか。

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税理士資格であれなんであれ、挑戦することがあるだけで人生の張り合い度が変わりますよ!

 

コメント

  1. 五味恵吾 より:

    初めて、コメントします。
    41歳で簿記一級になかなか受からない
    状態です。目標は税理士独立開業です。現状どうしたらいいかわかりません。何かアドバイスいただけるとありがたいです。

    • 管理人 より:

      こんにちは、ノマド税理士チャーリーです。
      五味様のすべての背景がわかっているわけではないので、参考程度にとどめていただきたいのですが
      「税理士試験の受験資格がなく、そのために簿記1級を受験していて、5科目試験合格組で税理士資格を取得し、独立開業したい」
      というのであれば、「41歳で簿記一級になかなか受からない」現状からみると、年齢面・試験の向き不向き的に少し難しい気がします。

      ◆学位による免除(修士又は博士の学位を授与された者は、試験の一部が免除されます)というものもあるので、一度検討されてみてはいかがでしょうか。

      試験に合格するにはコツがあるので、なかなか試験に合格できないけれど実務はバッチリという方もいますし。
      個人的には、そういう方は試験に労力を消耗するだけ時間が勿体ないかな、という気がします。
      もちろん、どうしてもその資格を目指す理由をお持ちであれば止めはしません。
      まずは、税理士でなければならない理由をもう一度洗いなおして、他の職業でも実現可能であれば方向転換するのも手です。
      コンサルタントなどは特に資格もいらないですし、何かに特化した強みがあれば、中小企業等のお役には立てる可能性大です。
      場合によっては税理士より親身になって寄り添うことができますよ。

      少しでも五味様の参考になれば幸いです。

  2. daiki より:

    コメント失礼します
    今年Fラン大学の経済学部に合格した者です。
    税理士に興味があります
    頭が悪く要領も悪いのですが、大学在学中に必死に勉強すれば大学卒業くらいには資格は取れるものなのでしょうか?

  3. […] […]